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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
目的:難治性の角膜上皮障害への治療法の開発を究極の目的とし,今回は角膜上皮細胞をその上で培養した水晶体嚢を利用し外科的に移植に適する組織を人工的に作成する技術の開発に向けての基礎的な研究を行った。 1)水晶体嚢の組成に関する形態学的研究 ラット眼球を摘出し,凍結後蛍光抗体法で各種細胞外マトリックス(ラミニン,フィブロネクチン,IV型コラーゲン,I型コラーゲン)の局在を検討した。水晶体嚢に,これら全ての細胞外マトリックスに対する特異蛍光が観察された。特にIV型コラーゲンに対する特異蛍光は水晶体嚢の中でも表面に強く観察された。これらの研究結果は,水晶体嚢がきわめて豊富に細胞外マトリックスを含有していることを示している。 2)細胞外マトリックスと角膜上皮細胞の相互作用 各種細胞外マトリックス(ラミニン,フィブロネクチン,IV型コラーゲン)によりコーティングしたスライドグラス上で培養家兎角膜上皮細胞を24時間培養した後に,分化マーカーであるAE3,AE5および増殖のマーカーであるPCNA抗体にて染色した。分化度は,AE5陽性細胞数/AE3陽性細胞数の比で判定した。角膜上皮細胞の分化度は,ラミニン上では,95.1%,フィブロネクチン上では,66.7%,IV型コラーゲン上では77.8%であった。伸展細胞の割合が高いほど分化度は低い傾向が認められた。増殖能については,どのマトリックス上でも約50%の陽性率で差は認めなかった。 3)水晶体嚢と角膜上皮細胞の相互作用 水晶体嚢上で培養家兎角膜上皮細胞を24時間培養した後に,分化マーカーであるAE3,AE5および増殖のマーカーであるPCNA抗体にて染色した。水晶体嚢上での角膜上皮細胞の状態は,IV型コラーゲンマトリックス上で培養した角膜上皮細胞の結果と極めて類似したものであった。 これらの研究成果より,角膜上皮細胞を水晶体嚢の上で培養することが可能であり,細胞はIV型コラーゲンマトリックスとの相互作用とよく一致した性格を示し,今後外科的に用いることの可能性が示された。
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