抗癌剤誘発腎毒性に対するエブセレン及びラザロイドによる軽減効果
Project/Area Number |
08771556
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
小児外科
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
脇坂 宗親 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (30267596)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | シスプラチン / エブセレン / 脂質過酸化 / ラット / 腎毒性 |
Research Abstract |
シスプラチン(CDDP)は種々の固形癌に対して優れた臨床効果を示す。しかし副作用として重篤な腎障害が発現し、臨床使用において大きな制限となる。CDDPによる腎障害の発現機序に活性酸素種が関与していると考えられている。本研究は、活性酸素種を消去する作用を有することが報告されている有機セレン化合物のエブセレン(EB)によるCDDP誘発腎障害の軽減効果について検討した。実験はラットをコントロール群、CDDP単独投与群、EB前投与した後のCDDP投与群、EB単独投与群の5群に分け、各々を投与した後、5日目に血清中尿素窒素(S-BUN)およびクレアチニン(S-Cr)測定、腎組織中の脂質過酸化量の測定そして尿細管病理組織像について検討した。CDDP5.0mg/kg単独投与に対し、EBは2.5,5.0そして7.5mg/kgを前投与を行った結果では、S-BUNやS-Cr値はEB2.5mg/kg前投与群がCDDP単独投与群に比べ、有意に低値を示し(p<0.01)、しかもコントロール群と差異はなかった。EB5.0および7.5mg/kg前投与群ではCDDP単独投与群と同じか或いは高値を示す場合も見られた。このEBの腎毒性軽減効果は、必ずしも用量依存性でなかったけれども、CDDP量に対するEB量のモル比が3:1のとき、最も軽減効果を示すことが判明した。光顕標本像では尿細管上皮細胞の変性がEB2.5mg/kg投与量のとき、CDDP単独投与群に比べ限局しており、軽度であった。同時に測定した腎組織中の脂質過酸化量はコントロール群よりCDDP単独投与群は約1.5倍高値を示した(P<0.01)。しかしEB2.5mg/kgの前投与により脂質過酸化の産生量は有意に抑えられた(P<0.05)。以上の結果より、CDDP誘発腎障害は脂質過酸化物および過酸化水素の消去作用をもつEB前投与により軽減されることが明らかとなった。今後、臨床応用のためには、担癌ラットにおけるエブセレンのシスプラチンの抗腫瘍作用に対する影響を検討しなければならない。
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Report
(1 results)
Research Products
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