Research Abstract |
これまでの研究から,研究代表者は口蓋扁桃投与法が従来の経鼻投与や胃内投与法よりも,唾液中に特異的な分泌型IgAを効果的に誘導させる投与法であることを既に明らかにした.しかし,口蓋扁桃投与法によって唾液腺組織に誘導される特異的IgA産生細胞が,どのような経路によって唾液腺組織内に優先的に誘導されたのか明らかになっていない.このため,まず,抗原で感作された扁桃リンパ球の組織への接着能を調べることで,扁桃リンパ球がこの組織から唾液腺組織へ移行できるかどうか調べた. ウサギの扁桃リンパ球を,in vivoでヒツジ赤血球によって感作した.次いで,このリンパ球を別のウサギの様々な組織から作成した凍結切片と反応させた.各組織の凍結切片と接着した抗原特異的リンパ球の単位面積あたりの細胞数は,唾液腺組織の場合が最も多く,鼻粘膜,腸粘膜がこれに続いた.唾液腺組織での単位面積あたりの感作リンパ球の細胞数は,各大小唾液腺組織を通じてほぼ一定であった.このことから,扁桃リンパ球は唾液腺組織に選択的に移行する可能性が高いことが示された(投稿準備中). 今後は,抗原を感作させた扁桃のリンパ球を別のウサギへ移入することによって,実際に唾液腺組織へ移行するか直接的に確かめたい.すなわち,感作が成立した扁桃リンパ球をいくつかの異なった経路で別のウサギに移入し,口蓋扁桃,大小唾液腺,脾臓などの免疫に関連する様々な組織に,特異的IgA産生細胞がどの程度分布しているか測定する予定である.また,各組織に分布する特異的IgA産生細胞が実際に特異的IgAをどの程度分泌しているか定量する予定である.
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