Research Abstract |
デンティンボンディングシステムの接着性能はコントラクションギャップの観察でなく、主に剪断あるいは引張り接着強さによって評価されているのが現状である。しかしながら、デンティンプライマーの導入後、接着強さ計測用紙片の多くがレジン内や被着象牙質内で破壊する事実が広く認識されており、これら計測法がすでに界面の接着性能計測でなく単なるレジンや象牙質の破壊抵抗力試験となっている可能性が考えられる。 そこで本研究では、8種市販コンポジットレジン、Clearfil-APX,Estelite,Estio-LC,Litefil-IIA,Prodigy,Progress,Silux Plus,Z-100のコントラクションギャップフリーデンティンボンディングシステム,0.5M EDTA,35%GM,Clearfi Photo Bondで処理された象牙質平面に対する引張り接着強さを計測するとともに直接引張り強さ試験と3点曲げ試験(ISO-No.4049)を行ってコンポジット自体の破壊抵抗力をも計測して引張り接着強さとの相関について検討した。 この結果、引張り接着強さ計測値は直接引張り強さ、曲げ強さ、ヤング率との間にいずれも高い相関関係を認め、今回用いたボンディングシステムの接着強さ計測値が各コンポジットの破壊抵抗力に強く影響されていることが確認された。APX,Estelite,Silux Plusはすでにこのボンディングシステムによってギャップフリーとなることが報告されているが、EsteliteとSilux Plusはその破壊抵抗力の影響から他のコンポジットより低い引張り接着強さを示した。したがって、引張り接着強さ計測値から象牙質窩壁適合性を推測することは不可能であり、接着強さ計測はあらかじめギャップフリーが確認されているコンポジットレジンシステムの接着永続性の評価のみに用いるべき計測法であることが改めて結論づけられた。
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