Research Abstract |
<目的>静脈麻酔薬であるプロポフォールは,効果発現,覚醒が速やかであるため,歯科外来での静脈内鎮静法への導入も期待できると考えられる.しかし,至適投与量,投与方法についての報告はほとんどない.そこで,歯科外来における静脈内鎮静法時のプロポフォールの至適投与量ならびに投与方法について主として呼吸抑制の面から検討することを目的とした. <対象>本研究の主旨を説明し承諾を得た健康成人 <方法>被験者を水平仰臥位にし,心拍監視装置(BP-508,日本コーリン社製,現有)により血圧,心拍数,Sp02の経時的測定を行う.ETC02は,ETC02測定装置(BP-508用C02モジュール,日本コーリン社製,今回購入)により新規改良型の鼻用サンプリングチューブを用いて測定する.さらに橈骨動脈より採血を行い血液ガス分析を行う. プロポフォールの投与方法は開始より3分までを6mg/kg/hr,次の10分間を3mg/kg/hr,更に次の15分間を1.5mg/kg/hrとして投与を停止する.同時に動脈血酸素分圧と二酸化炭素分圧との相関性について比較し,Sp02とETC02の測定が呼吸抑制を評価するに十分であるかどうかについても判定する.鎮静度については,経時的に呼名反射の有無,閉眼の有無,記憶の程度について記録し判定する. <結果>個体差はあるものの今回の持続投与量においてははじめから13分までは血液ガス分析値,Sp02,ETC02及び呼吸数に変化はみられなかったが,その後も血液ガス分析値,Sp02,ETC02には変化は見られないものの呼吸数の増加が見られた.呼名反射は見られ,閉眼は約半数に見られた.健忘効果はほとんどの者に見られ,投与開始から2時間後には完全に回復を得た. <考察>静脈内鎮静法としてプロポフォールの今回の投与量は健常者への呼吸器系への影響は少ないものと考えられた.臨床への適応については歯科治療,口腔外科処置などの侵襲,対象の年齢,呼吸器疾患の有無にも影響させると考えられ,至適投与量および投与速度についてはさらに検討が必要と思われた.
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