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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
頭頸部癌培養細胞におけるP糖蛋白の発現と,抗癌剤耐性について検索するため,臨床材料より得た口腔扁平上皮癌細胞と唾液腺癌細胞を用い,次の実験を行った.1)VCRを一定濃度で含む増殖培養液を用いて各細胞を培養し,生存数により、各細胞の50%増殖抑制濃度(IC_<50>)と20%増殖抑制濃度(IC_<20>)を求めた.2)VCRをIC_<20>の濃度で含む増殖培養液で各細胞を反復処理し,各ク-ルでIC_<50>の変化を比較した.3)VCR耐性誘導後の各細胞を,抗P糖蛋白抗体(C219)を用いて免疫染色し,P糖蛋白発現を検索した.4)VCR耐性細胞の細胞膜を調整し,ウエスタンブロッティング法にてP糖蛋白の細胞膜局在を検索した.5)P糖蛋白発現を認めた細胞の,作用機序の異なる抗癌剤に対するIC_<50>を算定し,感受性の変化を比較した.6)頭頸部癌細胞を雌ヌードマウス側背部皮下に接種し腫瘍形成後,VCRを腹腔内に反復投与し,各ク-ルでコントロール群に対する相対腫瘍重量比T/Cを算定した.7)VCRの腹腔内投与5ク-ル後の腫瘍組織のパラフィン包埋標本にてC219を用いた免疫染色を行った. その結果,各頭頸部癌細胞のIC_<50>は0.0042〜0.0138μg/mlに,IC_<20>は0.002〜0.0053μg/mlに分布した.VCRの耐性誘導後,各細胞でIC_<50>は徐々に上昇し,7ク-ル処理後では1.90〜4.8倍を示した免疫染色では,いずれもP糖蛋白の発現あるいは発現の増加がみられ,特に唾液腺癌細胞のHSYに顕著であった.ウエスタンブロッティング法でも,各細胞でVCR処理後にP糖蛋白発現細胞の増加が認められ,これらの細胞はVCRと作用機序の異なる種々の抗癌剤に対しても感受性が低下した.ヌードマウス可移植性腫瘍では,T/Cは各細胞でVCR投与ごとに上昇し,免疫染色ではin vitoroと同様,HSYにより強いP糖蛋白陽性所見が認められた.以上より,口腔扁平上皮癌細胞と唾液腺癌細胞でもP糖蛋白が発現し,さらに抗癌剤の反復投与によりその発現が増加し,抗癌剤多剤耐性に関与している可能性が示唆された.
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