Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
Hypマウスはヒト低リン酸血症性ビタミンD抵抗性クル病(XLH)の歯と類似の病的所見が認められるXLHのモデル動物である.我々はこれまでに,Hypマウスの切歯の象牙質形成は基底部より切歯中央部まで約40日必要であり,このHypマウスに高リン高カルシウム食(高CaP食)を与えると約10日で血中リン濃度が正常値まで回復することを明らかにした.今回,このHypマウスに高CaP食を長期間投与し,投与中あるいは投与中止後の象牙質の病理組織学的変化を観察した.高CaP食投与および投与中止と象牙質の変化の間の時間的な関係や,変化が現れる象牙質の領域を明らかにするため,上顎切歯の矢状断研磨切片を作製し,コンタクトマイクロラジオグラフと蛍光顕微鏡を用いて検討した.象牙質の変化時期の検討は蛍光顕微鏡で観察されるテトラサイクリンラベリングラインとコンタクトマイクロラジオグラフを比較することで行った.その結果,高CaP食を30日間投与した群においては球間象牙質の改善は認められなかった..60日間投与した群ではエナメル質側の象牙質では著明な変化は認められなかったものの,血中リン濃度が改善した後に形成されたセメント質側の象牙質において球間象牙質の減少が認められた.また,高CaP食の投与を中止したところ,血中リン濃度は投与中止の翌日から低下し始め,投与中止8日後には高CaP食投与前のレベルに戻った.そして,それに伴い改善が認められたセメント質側の象牙質には再び球間象牙質が認められるようになった.これらの結果はHypマウスにおける球間象牙質の出現は血中リン濃度によって左右され,エナメル質側では遺伝的な要因をはじめとするその他の要因にも影響を受けている可能性が高いことを示唆している.
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