Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本学小児歯科外来を受診した小児口腔あるいは診療室環境より総計144株の黄色ブドウ球菌を分離した。分離方法は小児の口腔粘膜および舌背部,歯科用チェア-や診療室床面を滅菌済み綿棒で擦過し,ニッスイNo.110培地に塗抹した。出現したコロニーのうちコアグラーゼ産生能を有するを黄色ブドウ球菌とした。144株のうちオキサシリンの最小発育阻止濃度(MIC)が4μg/ml以上を示しMRSAと判定された株は19株(13%)であった。これら144株を対象に消毒剤耐性遺伝子であるqacの有無を検討した。特異的な塩基配列20 Baseに対する合成プローブを用いたコロニーハイブリダイゼーションの結果,qac positiveの株は21株(14.6%)であった。MRSAでqac positiveの株は1株分離された。qac遺伝子の有無による消毒剤の感受性の相違を検討するために,すべての分離株についてBenzalkonium chloride,Chlorhexidine gluconate,Ethidium bromide,Povidone iodineに対するMICを微量液体希釈法により測定した。Benzalkonium chlorideに対するMICの平均はqac positive株で2.94±1.60μg/ml,qac negative株で1.33±0.63μg/ml,Chlorhexidine gluconateに対するMICの平均はqac positive株で3.31±2.52μg/ml,qac negative株で1.74±0.58μg/ml,Ethidium bromideに対するMICの平均はqac positive株で40.04±32.07μg/ml,qac negative株で29.95±27.22μg/ml,Povidone iodineに対するMICの平均はqac positive株で1.93±0.33mg/ml,qac negative株で1.51±0.79mg/mlであった。qac遺伝子の有無によるMICの平均値はBenzalkonium chloride,Chlorhexidine gluconate,Povidone iodineで統計的有意差を認めた(P<0.02)。 今回の研究より歯科の臨床においても消毒剤耐性遺伝子をもつ黄色ブドウ球菌が分離されており,これらの株は実際に各種消毒剤に対して耐性を示すことが確かめられた。特にBenzalkonium chloride,Chlorhexidine gluconate等に対しては有意に耐性を示し,臨床での使用には注意を要することが示された。
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