Research Abstract |
目的.抗歯根自己抗体は存在することは確認されているが,歯根吸収を促進させているのかあるいは抑制しているのか明らかでない.歯根吸収は前駆細胞が分化により歯根面に接着し,吸収が活性化されるものと思われる.そこで,まず歯根面への破歯細胞の接着に対する抗歯根抗体の及ぼす影響を調べるために抗歯根抗体を作製し,その抗体が歯根吸収の抑制に応用することが可能かどうかを検討した. 実験1.抜去歯牙を粉末にし,マウスに皮下注射した.全血を採取し,遠心分離した上清を抗歯根抗体とした.出生直後のウィスター系ラットの大腿骨より骨髄を採取し,象牙切片上(A,無処理;B,抗歯根抗体で処理したもの)に播種した.37℃1時間保温した後,TRAP染色を行って接着した細胞数を計測した.その結果,予想に反してBの象牙切片上にはAの2倍以上のTRAP陽性細胞が接着していた.これは,抗歯根抗体が歯根吸収を抑制するのではなく,むしろ促進させることを示唆している.この接着細胞の促進は抗体のFc部分がマクロファージに結合し,サイトカイン(恐らくはIL-1,IL-6,及びTNF-α)が産生されTRAP陽性細胞が誘導されたものと思われる.そこで,実験2を延期し,まず抗歯根抗体のFc部分を除去して,再度,上述の実験を行うことにした.Fc断片を除くために抗歯根抗体をペプシンで消化した.象牙切片(A,無処理;B,抗歯根抗体で処理したもの;C,抗歯根抗体のFab断片で処理したもの)上に骨髄細胞を播種した.その結果,接着したTRAP陽性細胞数は,Aが9【plus-minus】2個であったのに対し,Bは15【plus-minus】4個であり,Cは2【plus-minus】2個であった.抗歯根抗体は接着を阻害することはできなかったが,抗歯根抗体Fab断片は接着を阻害した.このことはFab断片は歯根吸収を抑制できる可能性を示唆している.実験2は現在,進
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