Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
オリゴ糖、糖脂質、糖ペプチドなど生体内のあらゆる糖鎖が注目される中、糖鎖合成における重要な段階のグリコシル化反応が研究されている。本研究ではより有効なグリコシル化反応の開発を目的とし、エノールエーテルの脱離能を利用したグリコシル化について以下の点を明らかにした。 α,β-不飽和アルキン酸エステルがアルコールと容易にβ-付加し高い反応性を有するエノールエーテルを生成することに着目し、1位水酸基遊離糖をトリブチルホスフイン存在下α,β-不飽和アルキン酸エステルのテトロール酸メチル及びプロピオール酸メチルと反応させ、グリコシル供与体を立体選択的に好収率(80%以上)で合成した。得られた供与体と6位水酸基遊離糖をルイス酸のTMSOTfを用いてグリコシル化反応の条件検討を行い、二糖(-50℃、0.5時間収率82%)を得た。このとき、溶媒により立体選択的(CH_2Cl_2-α,β=9:2,MeCN-β体のみ)に二糖を好収率で得た。得られた結果を基に種々の受容体を用いて二糖を好収率で合成した。また、不安定な化合物にも適用できるため、合成困難な種々の天然物の糖鎖合成の応用として、腫瘍マーカーの一種であるSSEA-1抗原の構成糖であるLe^x抗原の合成に適用し、Le^x抗原を49%の好収率で合成した。以上の結果よりこれら供与体は安定で調製が簡便であり、ルイス酸で容易に活性化され反応性も高い。さらに本グリコシル化反応は温和な酸性条件下、低温で迅速に進行し立体制御しやすいことが明らかになった。 今後の展開は、ケトンの電子吸引効果のためアノマーのより高い反応性が期待できるα,β-不飽和ケトンを用いて供与体を合成する。また、グリコシル化反応ではその他の各種のルイス酸による当量数、反応温度、溶媒、塩基などの変化による条件を検討し、α,β-結合の立体選択性と収率の向上、さらにその他天然物のオリゴ糖合成に適用する。
|