Project/Area Number |
08772072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical pharmacy
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
長谷川 健 神戸薬科大学, 薬学部, 助手 (30258123)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | リン脂質膜 / 向精神薬 / 分子配向解析 / 一軸異方性 / 紫外分光法 / Langmuir-Blodgett法 |
Research Abstract |
代表的な三環系向精神薬であるChlorpromazine(CPZ)が、生体内で細胞に入り込んでいくメカニズムを詳しく調べた。CPZは、細胞膜との疎水的相互作用を原動力にして、膜中に入り込んでいくことがこれまで示唆されてきた。これを、このたび分光学的に初めて裏付けるため、モデル膜としてL-α-dipalmitoylphosphatidylcholine(DPPC)展開単分子膜を用い、水槽側からCPZを作用させ、CPZの膜への侵入の程度を、まず界面化学的に調べた。その結果、水槽側のCPZの濃度と、膜の薬物侵入による膨張の程度との定量的な関係が求められた。次いで、CPZが侵入した展開単分子膜をLamgmuir-Blodgett(LB)膜として、水晶板上に累積し、非偏光垂直入射の紫外吸収スペクトルを測定した。得られたスペクトルが、水溶液が示すスペクトルとは大きく異なる相対バンド強度を示したことから、CPZが薄膜中で配向して存在していることが示唆された。この分子配向の程度を定量的に求めるため、既に研究代表者が開発している、一軸異方性薄膜の光学理論を用いて、スペクトルを解析した。その際、CPZの長軸と単軸とにそれれ平行な二つの遷移モーメントの吸光係数を、水溶液中でのバルクのモル吸光係数から算出する新たな理論式を導出した。得られた複素屈折率からスペクトルを解析した結果、CPZの分子単軸方向の遷移モーメントは、膜法線方向からおよそ18度の傾きで一軸配向している様子が明らかとなった。これは、既に報告されているDPPCLB膜の膜分子主軸の傾きにほぼ等しく、CPZが膜に沿って侵入していく様子を初めて分光的に裏付けることができ、Langmuir誌に発表できた。 今後は、脂質膜と糖との結合メカニズムも詳しく調べる予定で、現在準備を進めている。また、併せて、薄膜の二軸配向解析システムの構築も、展望あるテーマとして狙っていきたい。
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