Research Abstract |
1995年7月〜1996年4月までの期間,乳児10名とその家族から分離したCandida albicans株のDNAタイピングによる解析を,出生から生後6ヶ月まで継続して行った。 1ヶ月検診時までにC.albicansが検出された乳児2名は,すべて経膣分娩であり,その母親の妊娠後期の膣分泌物からも電気泳動核型,制限酵素切断パターンが類似したC.albicansが検出され,母子間での移行が示唆された。 生後3〜6ヶ月においてC.albicansが検出された乳児4名すべての母親の唾液からも,C.albicansが検出された。このうち1名の乳児はC.albicans株の核型,制限酵素切断パターンが,母親と同胞から検出された株との類似が認められ,家族間の移行が推測された。他の3名は両親との類似は認められなかったことから,家族内移行のほかにも乳児への移行ルートがあり,食物や環境等についても考慮すべきであることが示唆された。 生後6ヶ月までC.albicansが検出されなかった乳児では,その両親からも検出されなかった。また,1ヶ月検診時に検出された乳児1名および生後3ヶ月時に検出された2名においては,すべてその後C.albicansが検出されなかったことから,この時期から定在するとは限らないことが示唆された。 今回の調査から,新生児期では,母親からの影響を受けやすく,膣内にC.albicansが存在しているとき,経膣分娩では移行しやすいため,未熟児や免疫機能の低下した児では十分留意する必要があること,乳児期では家族内で移行する可能性もあるが,検出された菌株が必ずしも定在するとは限らないことから,家庭内における清潔ケアの検討が必要であることが推察された。
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