低血糖時の肝臓におけるケトン体および酢酸の生成とその制御機構の解明
Project/Area Number |
08780016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
家政学
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
山下 広美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助手 (70254563)
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Project Period (FY) |
1996 – 1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1996: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ケトン体 / 酢酸 / β-酸化 / 糖新生 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
低血糖時やショック時には脳以外の組織におけるグルコースの取り込みは制限され、代りにケトン体が燃料として用いられている。前年度までに行った研究で申請者は、肝臓ではケトン体だけでなく比較的多量の酢酸が生成され放出されることを明らかにした。本年度は低血糖時肝臓におけるケトン体および酢酸の生成速度とその調節制御機構について糖新生との関連を中心に明らかにすることを目的とした。24時間絶食したラット肝臓を緩衝液のみで潅流すると、ヒドロキシ酪酸(0.1μmol/min/g liver)および酢酸(0.05μmol/min/g liver)とともに,多量のアセト酢酸(0.4μmol/min/g liver)の生成が見られた。この状態でケト原性基質である酪酸を添加すると、酸素消費量の増加(0.5μmol/min/g liver)に伴ってケトン体生成が著しく増大した(1.1μmol/min/g liver)。さらに、ケトン体合成が盛んな状態で糖原性基質(ピルビン酸、乳酸、アラニン)を加えると、ケトン体生成は顕著に抑制された(0.6μmol/min/g liver)。この事実から、β-酸化は糖新生に必要な還元力の供給反応として作用しないことが示唆された。一方ケト原性基質としてエタノールを用いた場合、ケトン体生成はむしろ阻害され、それに代わって、多量の酢酸(0.6μmol/min/g liver)が合成された。これまで酢酸は生成されてもTCAサイクルで簡単に酸化分解されるか、またはケトン体に合成され肝外組織の燃料となると考えられてきた。しかし本研究の結果より、肝臓で生成された酢酸はそのままの形で血中に放出されることが明らかになった。そこでエタノールから酢酸への酸化と糖新生との関係について調べた結果、ピルビン酸からの糖新生とエタノールの酸化は相互に著しく促進した。この事実より、エタノールの酸化によって増加したNADHが糖新生の還元力として提供された結果、両反応が相互に促進したと考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
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