Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
1.はじめに 本研究は,安全な空間確保を担う「住居」について,非常時における人間が住居を通していかに行動し生活するのかを探るものである。本年度では兵庫県南部地震を主な研究対象とし,既往地震を参照しながら,「住居からとらえた地震被害とその影響-避難生活の際に用いた生活空間の変遷とその機能性-」「生活復興過程の解明-生活からみた住居のもつ意味・位置づけ-」について研究を遂行した。 2.結果 兵庫県南部地震後に被災地住民が用いた生活空間を整理し,彼らの空間に関するコメントから性能論を用いてその状況を明らかにし,最終的には日常時の住宅のあるべき姿を性能論からまとめた。その結果,震災後に被災地住民が用いた生活空間は17種類に分類でき,それらは居住空間として仮設性の高いものから恒久的なものまで多岐にわたった。性能面から生活空間を分析すると,生活空間の居住水準確保は難しく,「プライバシー,建築空間,建築物の保健性能」の性能について特に問題となり,日常生活が成立しなければ生活の場としての住居が成立しないことが明らかとなった。また,住居の破壊が与えた日常生活のダメ-ジは大きく,物理的なものから精神的なものまで広範囲に影響し,住居の確立が生活復興に対して極めて大きな位置づけとなることを明らかにした。さらに,本震災を通して,安全性について一般の人々に対し啓発・教育の必要があり,これによって社会的な安全性に対する認識が広まるものと考えた。 3.今後の研究課題 兵庫県南部地震をはじめ,日本はここ数年大地震が比較的頻繁に発生している。今後はさらに過去の地震との比較を行い,社会・文化を包含した上で,生活と住居に地震被害が与えた影響を考察し,今後われわれが地震災害に対して備えるべき知見を得たいと考えている。
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