Research Abstract |
【目的】本研究では,養殖ウナギ及びアユにオキシテトラサイクリン(OTC)を強制経口投与し,それらの組織内濃度を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法によって求め,両魚種におけるOTCの残留特性を明らかにした。さらに,魚体内に残留しているOTCが調理法によって,どのような影響をうけるのかを検討した。 【方法】供試魚には養殖ウナギ(平均体重141g)及びアユ(平均体重54g)を用いた。飼育をウナギでは水温28℃,換水率40%dayの水槽で行い,一方,アユでは水温18℃の流水水槽で行った。投薬方法は,麻酔した供試魚に投与量が50mg/kgとなるようにカテーテルを用いた強制経口投与法で行った。投薬後,所定時間ごとに5尾ずつ取り上げ,採血後,血清を分離し,筋肉,肝臓,皮及び骨を採取した。それらの組織中のOTC濃度をHPLC法によって求めた。また,OTCが残留する組織を試料として,ゆでる,焼く,揚げるの調理を行い,それらの調理操作後の残留OTC濃度をHPLC法によって求めた。 【結果】組織内濃度序列は,両魚種とも骨>肝臓>皮>筋肉>血清であった。両魚種の組織におけるOTCの消失半減期をそれらの消失曲線から求めたところ,ウナギの血清,筋肉及び肝臓でそれぞれ3.5日,6.1日及び11.3日,アユでは,50日,6.6日及び5.5日であった。OTCの残留基準値(0.1ppm)以下になるのに要する時間は次のとおりであった。ウナギ;血清4.4日,筋肉5.0日,肝臓25.2日,アユ血清10.4日,筋肉14.2日,肝臓23.8日。これらの値は現在設定されている休薬期間(30日間)以内であった。しかし,OTCは両魚種とも骨・皮に一定の濃度で残留し,消失曲線を検出できなかった。残留するウナギ骨に紫外線ランプを照射すると螢光を発した。調理操作により残留OTCは,筋肉及び肝臓で70〜80%分解消失したが,骨では30〜50%の分離消失であった。
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