Project/Area Number |
08780134
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human geography
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
吉田 容子 摂南大学, 国際言語文化学部, 講師 (70265198)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 宅配便産業 / 女性ドライバー / 労働市場の多重構造 / 生産活動 / 再生産活動 / 日常行動 |
Research Abstract |
経済の著しい成長期においては大型貨物輸送が飛躍的な伸びをみせたが、1973年の第一次石油危機を契機に商業物流が大幅に減少すると、小口荷物の輸送が注目されるようになった。小型貨物輸送サービスを行う宅配便は、76年に大手運輸会社によって始められ、80年代前半までの短期間のうちに、大手各社が宅配業務に着手した。このように宅配便は運輸会社によって始められたことから、体力的に女性よりも勝るとされる男性の就業が圧倒的で、いわゆる‘メンズ・ジョブ(男性向きの仕事)'として受け取られがちである。ところが、本研究における宅配企業各社への調査から、宅配業務の開始とほぼ同時期に、女性技能者(ドライバー)の採用が行われており、特に86年のいわゆる「男女雇用機会均等法」施行以降は、女性を積極的に採用している企業もある。 近年、労働市場への女性労働力の参入は著しく、宅配便産業も例外ではない。宅配便ドライバーは新卒採用のみならず随時中途採用が可能であり、労働面において男性ドライバーとほぼ同条件であるうえ、技能職に位置づけられている同性の事務職に比べ賃金面でも優遇されている。また、支店や事業所単位の採用であるため勤務地の移動がないということも、女性ドライバー増加要因の一つにあげられる。女性ドライバーは基本的に男性と同じ労働であるが、担当エリアに荷重配達物があれば男性の応援を頼むなどで対応する。さらに、エリア内での階段の多さ、昼食場所や手洗いの欠如など、女性にとって空間的な障害は多い。また、一口に女性ドライバーの増加といっても、都市部と地方とでは異なる状況にある。つまり、都市部では20歳代前半の未婚女性が目立つのに対し、地方では既婚女性が多く、30歳代〜50歳代まで年齢層も厚い。さらに、地方では自宅周辺が担当エリアと重なる場合が多く、既婚者は配達/集荷業務を早めに終え、買い物などの家事を済ませる。地方の女性ドライバーの行動空間は、生産活動の中に再生産活動が複雑に絡み合って形成されていると考えられる。
|