Research Abstract |
部品の振舞いを高度な抽象レベルで説明する際に必要な知識の内容とその利用方法を明らかにした.まず,具体的な説明文を解析し,7つの説明情報軸を同定した.説明情報軸は説明の内容を規定し,説明文章の構成要素に対応する.次に,説明情報軸と対応させて説明文の構成要素を記述した.文の構成要素は機能モデル表現言語FBRLの表現する機能解釈情報の組み合わせに対して定義された.さらに,これらの知識に基づく説明生成システムを計算機上に実現した.説明システムは従来から開発してきた故障診断システムの一部として設計され,シミュレーションによって同定されたパラメータの値の時系列を入力として説明文を生成する.説明文の生成は,ユーザが入力した説明情報軸の値に沿って,説明構成要素を組み立てることで行われる.プラントを対象として故障時の振舞いの説明を生成する実験を実施し,機能概念に基づいて振舞いの適切な抽象化を行い分かりやすい説明を生成できることを確認した.また,説明情報軸の組み合わせによって,様々な種類の説明を異なる抽象化の方法や度合いにおいて生成できた.これは従来研究開発部されてきたテンプレートに基づく説明生成手法が生成する説明文が固定的であるのに比べると,多様な説明生成能力を持つと言える.また,抽象的な機能概念に基づいた説明生成手法を実現する過程を通して,振舞いの抽象化の方法と知識に関する知見を得た.振舞いの抽象化の内容を規定する説明情報軸を同定し,抽象化に必要な知識がFBRLの機能解釈情報によって表現されている.本研究はこれらの振舞いの抽象化に関する知見を通して,物理的対象の抽象化を伴う問題解決の実現に貢献する.
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