Research Abstract |
本研究では,大気エアロゾルの光学特性(化学組成,密度,大きさ等)の時空間変化からその起源や分布を調べた.エアロゾル光学特性の導出にあたり,放射強度と合わせて,偏光度を利用した.偏光度データの取得には,下記のスケジュールで多波長偏光放射計(PSR1000)を用いて検証実験を実施した. ●平成8年5月〜平成9年2月 近畿大学(東大阪市) ●平成8年5月〜平成9年1月 気象庁気象研究所(つくば市)にて気象研,金沢工大と共同観測 ●平成8年7月,平成9年3月 神戸商船大学深江丸にて四国・九州沖にて洋上観測 これらの取得データを基に,光散乱シミュレーション値と比較照合から最適なエアロゾルモデルの導出を行った.得られた結果を次に記す. 1)つくば市上空,東大阪市上空の陸域のエアロゾルに関しては,有機物溶存型エアロゾル(Water Solubleタイプ)と,都市型エアロゾルとしての煤(Sootタイプ)などが混合している.また,エアロゾル粒径半径と分布は,変化が激しい. 2)大阪湾など,瀬戸内海上空では海塩粒子(Oceanicタイプ)と共に,陸域起源の有機物溶存型が混合している. 3)太平洋上では,ほぼ海塩粒子に限られ,エアロゾル粒径分布変化はほとんど無かった. 本研究と通じて,人的な影響だけでなく大陸と海洋の影響を受けた日本近海の大気エアロゾルの地域的な分布状況や,粒径変化が分かった.
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