重粒子線照射による細胞死の感受性とクロマチン損傷との相関性に関する研究
Project/Area Number |
08780516
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
環境影響評価(含放射線生物学)
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
鈴木 雅雄 放射線医学総合研究所, 第3研究グループ, 総理府技官研究職 (70281673)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 線エネルギー付与(LET) / 重粒子線 / 炭素イオンビーム / 細胞死 / 修復されないクロマチン切断 / 早期染色体凝縮法(PCC法) |
Research Abstract |
X線やガンマ線とはそのエネルギー付与の構造において大きく異なるタイプの高LET粒子線照射によるヒト培養細胞の細胞死の特性を、生じたクロマチン切断の修復性の観点から明らかにすることを目的として、放射線医学総合研究所重粒子線がん治療用装置(HIMAC)によって加速された炭素イオンビーム(使用いたビームのLETは、13keV/μmと77keV/μmの2種類)を用いて、複数のヒト由来の正常細胞およびがん細胞に対する細胞死と修復されないクロマチン切断誘発との相関性を検討した。 まず、2種類のヒト正常細胞および14種類のがん細胞を用いて、コロニー形成法による細胞の分裂死を調べたところ、X線によるD_<10>(10%生存率を与える吸収線量)に対して炭素イオンビームによるD_<10>をプロットした場合、2種類のLETの炭素イオンビームいずれにおいても細胞種によって2本の直線上に分かれる微細構造が存在することがわかった。このことは、X線の放射線感受性に対して炭素イオンビームによる感受性が一律には定まらないことを意味するものである。続いて、早期染色体凝縮法(PCC法)を用いてG1期の細胞におけるクロマチン切断の修復性を調べたところ、細胞死で求めたD_<10>あたりに生成される修復されないクロマチン切断数をX線および炭素イオンビームそれぞれでのD_<10>の関数としてプロットした場合、細胞死で見られたような微細構造と定性的に同等の構造が現れることが判った。以上の結果から細胞死とクロマチン損傷の修復性とが良く相関することが明確になった。このことは、細胞のクロマチン切断の修復能が細胞死を決定する要因の一つであることを明確に示した実験的根拠であり、さらにこの事実がタイプの異なる放射線に対して一般化が可能であることを示唆するものである。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)