海藻を供試生物とした都市雨水流出水の生物検定に関する研究
Project/Area Number |
08780525
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
環境保全
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鈴木 祥広 宮崎大学, 工学部, 助手 (90264366)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1996: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 雨水流出水 / 生物検定 / 海藻(ノリ殻胞子) / 生長阻害 |
Research Abstract |
本研究では、雨水流出水について海藻(ノリ)を供試体とした生物検定を行い、有害性物質の在否、および沿岸生態系に及ぼす影響を評価することを目的としている。本年度の調査・実験から得られた知見を以下に述べる。 (1)雨水流出水の採水:合流式下水システムを採用している地域を調査し、そのA下水処理場の越流水の排除方法について調査した。A処理場は晴天時の平均水量の5倍以上の水量が流入したとき、越流水として未処理のまま海域に放流している。その際、放流ゲートの開閉によって水量の調節を行っている。そこで、このゲートの内側に位置するマンホールより越流する直前の雨水を採水することにした。採水は、1996年7月18日の台風の接近に伴う降雨時に行った。 (2)水質分析:採水した雨水流出水について、直ちに水質項目の分析を行った。その結果、pH7.24、浮遊物質70mg/l、濁度55FTU、アアンモニア性窒素0.52mg‐N/l、硝酸性窒素2.0mg‐N/l、および無機リン酸0.14mg‐P/lであった。pHを除く全ての項目において、通常の下水よりも濃度が低く、雨水によって希釈されていると考えられた。 (3)生物検定:雨水流出水の採水時期に合わせてノリ殻胞子をガラスプレート上に着生させた。この殻胞子着生プレートを流出水添加率(0〜32%)の異なる検定水に暴露して試験を開始した。培養条件は、15℃、明期:暗期=14h:10h、96時間とした。その結果、雨水流出水は、殻胞子の生残に対して、雨水流出水の添加率32%において、対照区と比較して約20%低下し、有意に阻害を生じていることが示された。 本研究で試料とした雨水流出水は、下水よりも浮遊物質や濁度はひくいももの、海藻の成長を阻害する物質が含まれていた可能性のあることが示唆された。本年度の調査は適時にすべて入力で行ったが、雨水流出水の採水は、降雨時期を的確に予想しなければならず、管理面からの時間制限を受けること、さらに採水作業には危険が伴うため、人力のみでは極めて困難であった。次年度は、自動採水器(H9年度申請備品)を採水点に設置し、通年にわたる調査・研究を行う予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)