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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究では,水圏環境に広く生存し有機物分解に高い割合で寄与する硫酸塩還元細菌の生育・代謝機構を明らかにすることを目的として,有機性廃水分解過程における発酵特性を定量・把握する実験を行った。その結果,以下の知見が得られた。 1.メタン発酵システムにおける硫酸塩還元細菌の有機物分解ポテンシャル評価 COD:硫酸塩:硝酸塩=2000:100:0(単位:mg l^<-1>)の糖・VFA混合廃水をUASB型反応器(35℃)に供給して4ヶ月間培養したグラニュール汚泥をバイアル活性実験に供した。その結果、低硫酸塩負荷の環境下で培養された汚泥中にも,硫酸塩還元細菌が増殖することがわかった。即ち;(1)H_2/CO_2基質に対する硫酸塩還元活性は,メタン生成活性の0.18倍であった。;(2)バイアル実験で硫酸塩を添加すると,プロピオン酸分解活,性乳酸分解活性,エタノール分解活性は,それぞれ,4.3倍,1.2倍,2.5倍にまで高まった。;(3)プロピオン酸分解(直接酸化)活性比率は,水素生産性酢酸生成細菌とメタン生成細菌の共生系:プロピオン酸資化性硫酸塩還元細菌で,100:132となった。 2.発酵性細菌としての硫酸塩還元細菌の評価 上記1のUASBから硫酸塩還元細菌株を釣菌し,発酵的生育特性について評価したところ,以下の知見を得た;(1)単離した硫酸塩還元細菌株は,乳酸,エタノール,n-プロパノール,ピルビン酸を発酵基質として生育した。;(2)硫酸塩負荷の低いUASB反応器内では硫酸塩還元細菌が発酵により増殖していることが示唆できた。 浄化システムの高速化の検討 低濃度硫酸塩負荷の環境下でも硫酸塩還元細菌は発酵により生育可能であることが本研究により明らかとなった。そのため,嫌気性排水処理槽に不健全な有機物,例えばプロピオン酸が蓄積が生じる場合,排水処理槽に硫酸塩を添加し,発酵によって増殖した硫酸塩還元細菌の有機物分解能を利用して,有機物分解能を高められることが示された(プロピオン酸については4倍程度の高速化が期待できる)。
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