Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
ニワトリδ-クリスタリン遺伝子は水晶体分化の初期過程で発現が開始されることから、その発現制御機構は水晶体誘導と密接に関連していると考えられる。δ-クリスタリン遺伝子が水晶体特異的に活性化されるには、HMGタンパク質SOXの作用が必要である。Sox遺伝子群は、性決定に関わる遺伝子SryのHMGボックスと高い相同性を持つ遺伝子として二十数種同定されているが、SRYを含めSOXが組織間相互作用を通した細胞分化のステップに重要な役割を持つことが示唆されている。したがって本研究では、組織間相互作用が重要な役割を果たす眼発生過程におけるSox遺伝子群の発現パターンとその発現制御機構を中心に解析した。 水晶体で発現されているSox遺伝子としてSox1,-2,-3を同定した。SOX1,-2,-3は、アミノ酸配列が全長にわたって類似しており、いずれもδ-クリスタリンエンハンサーを活性化した。Sox2は、胚発生の早い段階で予定水晶体域を含む広い範囲の頭部外胚葉で発現がみられる。この発現は、次第に限局し、水晶体プラコードにおける発現につながる。一方、Sox3は水晶体プラコードが生じる直前に発現が開始される。また、Sox1はSox3に遅れて、肥厚した水晶体プラコードで最初の発現がみられる。ニワトリ胚において外科的に眼胞を取り除き、Soxの発現に眼胞からのシグナルが必要かについて調べたところ、水晶体プラコードにおけるSox2,-3の発現はいずれも眼胞の存在を必要とした。。また、Sox3遺伝子のプロモーター領域の塩基配列の解析により、この領域には複数のSOX結合配列が存在することがわかった。したがって、Sox3遺伝子は、自己制御または事前にが発現されているSox2による制御を受けていることが推測された。
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