ニューロブラストの産生および移動の障害に基づく脳奇形の形成機序に関する研究
Project/Area Number |
08780722
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Nerve anatomy/Neuropathology
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
柿田 明美 新潟大学, 脳研究所, 助手 (80281012)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 異所性神経・グリア細胞 / 移動障害 / 大脳皮質異形成 / 脳奇形 |
Research Abstract |
異所性neuroglial cell nest(NGN)は、多脳回症などの奇形脳でしばしば観察される脳表の形成異常である。採択者は、この奇形の形成機序を知る目的から、妊娠ラットにメチル水銀を投与し新生児または幼若ラットの脳を経時的に採取し病理組織学的に観察した。 1.妊娠ラットを用い、胎児終脳が未分化なneuroepithelial cellのみからなる妊娠第11日(E11)、神経芽細胞産生期にあるE13またはE16に20mg/kgのメチル水銀を1回経口投与した。 2.いずれも妊娠は順調に継続し、分娩予定日に全匹出産した。出生第2日(P2)、P7またはP14で児ラット脳を採取し光顕観察した。E11投与群では14%、E13では36%、E16では6%の児大脳側頭部(supplementary somatosensory area,visceral area,gustatory area)のくも膜下腔に、異所性NGNが形成された。NGNの大きさは個体により様々であったが、いずれのNGN内にも神経細胞およびグリア細胞が特別な配列を示すことなく認められた。 3.NGNと大脳皮質とは単一あるいは複数の部位で連続し、そこでは柔膜が断裂していた。またNGNと連続する皮質では、分子層にも神経細胞が散見され皮質深層におよぶ層構造の乱れ(focal cortical dysplasia)が全例で認められた。 4.NGNの電顕では、少数のシナプス結合およびcollagen fiberが観察された。 5.母体に投与されたメチル水銀は、経胎盤的に胎児に移行し、その毒性は投与後数日間に亘り持続・漸減するものと考えられる。脳室近傍のneuroepithelium層で産生された神経芽細胞はラジアルファイバーに沿って移動し皮質層構造を形成すると考えられている。今回の観察から、大脳くも膜下腔の異所性NGNは、胎児終脳が神経芽細胞産生初期に障害を受けた場合に形成される奇形であり、皮質形成異常(cortical dysplasia)を伴うものであることが示された。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)