神経成長因子(NGF)の細胞内情報伝達系と細胞内レドックス制御の関連
Project/Area Number |
08780746
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurochemistry/Neuropharmacology
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
鎌田 英明 姫路工業大学, 理学部, 助手 (10233925)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 神経成長因子 / 細胞内情報伝達系 / 細胞内レドックス / 細胞分化 / アポトーシス / MAPキナーゼ / Ras / N-アセチルシステイン |
Research Abstract |
生体は活性酸素などの酸化ストレスにさらされているが、細胞はこれに対抗して細胞内酸化還元(レドックス)状態を還元状態に保持している。強度の酸化ストレスは細胞死を誘導することから種々の神経系疾患の原因と考えられており、レドックスによる細胞の「生と死」の制御機構の解明は基礎生物学・医学的に最重要課題の一つである。我々は、神経系モデル細胞株であるPC12細胞を用いた実験により、酸化ストレスが「死のシグナル」経路を介してアポトーシスによる細胞死を誘導すること、また神経成長因子(NGF)やRasの活性化はこの細胞死を特異的に抑制することを明らかにした。すなわち、細胞内情報伝達系とアポトーシス誘導機構とのクロストークにより細胞の「生と死」が制御されていると考えられた。さらに、興味深いことに還元剤(N-アセチルシステイン)によりNGFの細胞内情報伝達経路上のRasからMAPキナーゼカスケードへの情報伝達が阻害され、NGFによる神経分化が抑制されることが見いだされた。また、神経系細胞株であるアストロサイトーマU373を用いた実験により、還元剤はリポポリサッカライド(LPS)による転写因子NFkBやAP-1の活性化を抑制し、最終的にLPSによるインターロイキン-8の発現誘導を阻害することを見いだした。すなわち、細胞内レドックスは細胞の「生と死」を制御するのみならず、神経細胞の「分化」や外界シグナルに応答した「遺伝子発現」を制御することが明らかにされた。このことは、細胞内レドックスと細胞内情報伝達システムとのクロストークにより多様な細胞機能が制御されている可能性を示すものである。このクロストーク機構の解明により、細胞分化や細胞機能の新たな制御機構の解明がなされることが期待される。また酸化ストレスが関連する疾患の原因解明と治療法の開発やにも貢献すると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)