セラミドによる小脳プルキンエ細胞樹状突起形成制御の分子機構
Project/Area Number |
08780757
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurochemistry/Neuropharmacology
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古屋 茂樹 理化学研究所, 糖細胞情報研究チーム, フロンティア研究員 (00222274)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | セラミド / プルキンエ細胞 / ニューロトロフィン / 樹状突起 / スフィンゴミエリン |
Research Abstract |
本年度は申請者の得たこれまでの知見を踏まえ、新しい機能性脂質分子であるセラミドによる小脳プルキンエ細胞の生存維持と樹状突起形成の調節機構を分子細胞生物学的手法を用いて明らかにすることを目指した。まず生存維持作用について神経栄養因子とセラミドの関連を検討した。NGFやNT-3などのニューロトロフィン(10-100ng/ml)と細胞膜透過性C_6-Ceramide(20μM)はいずれも単独投与では極めて僅かしか培養プルキンエ細胞の生存を促進しなかった(対照の110%程度)。しかしそれらを同時に加えるとプルキンエ細胞の生存数は対照の150%にまで増加した。この増強作用はニューロトロフィンファミリーに特異的であり、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)の場合には観察されなかった。プルキンエ細胞ではニューロトロフィンの低親和性レセプターp75^<NTR>の強い発現は観察されているが、その一方NGFの高親和性レセプターであるTrk Aは発現していない。以上の結果はセラミドがp75^<NTR>の下流で機能している可能性を示唆している。そこで蛍光標識スフィンゴミエリンを基質としHPLCによって高感度に微量の神経細胞からスフィンゴミエリンに由来するセラミドの産生を検出するシステムを開発し、ニューロトロフィンによるスフィンゴミエリナーゼの活性化⇒セラミドの産生の有無を現在検討している。 次に樹状突起分岐形成におけるセラミドの役割を検討した。C_6-Ceramide(20μM)の添加はプルキンエ細胞の樹状突起分岐点数を30%増加させた。意外なことにNGFやNT-3などのニューロトロフィンは樹状突起分岐点を増加させなかった。その一方でテトロドトキシン(TTX,5μM)処理によって興奮性膜電位の形成を阻害すると樹状突起の分岐形成は抑制された。しかしC_6-Ceramideを同時に添加すると分岐点数は対照の80%近くまで回復した。これらの結果から樹状突起の分岐形成はシナプス伝達によって調節され、セラミドはその情報伝達に関わる可能性が示唆された。そこで現在プルキンエ細胞と顆粒細胞間のシナプス伝達とセラミド産生の関連を上記のHPLCによる検出システムを用いて検討を行っている。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)