血管内皮細胞の接着分子発現に及ぼす血流の効果に関する研究
Project/Area Number |
08780817
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biomedical engineering/Biological material science
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
是永 理佐 東京大学, 医学部, 寄附講座教員 (20260482)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 血管内皮細胞 / ずり応力 / 接着分子 / VCAM-1 / メッセンジャーRNA / 転写 |
Research Abstract |
これまでの研究で、マウス血管内皮細胞に流れずり応力を負荷した際細胞表面の接着分子VCAM-1の発現が静的コントロール群に比し有意に低下することを報告してきた。本研究では、このVCAM-1発現に対する流れずり応力の影響が内皮細胞の遺伝子のレベルにまで及んでいるかについて検討した。マウスリンパ節細静脈の内皮細胞に流体力学的に設計した流れ負荷装置で定量的な流れずり応力を負荷し、流れ負荷群および静的コントロール群の細胞からAGPC法により総RNAを抽出し、逆転写PCR法を用いてVCAM-1のmRNAの発現量の変化を解析した。結果、静的コントロール群に比し流れ負荷群ではVCAM-1mRNAの発現量は著明に減少した。(1.5dynes/cm^2の流れずり応力24時間負荷で50%減少)この流れ負荷によるVCAM-1mRNAの発現量の減少は流れの負荷時間および流れずり応力の大きさに依存性であった。 次にマウスゲノムライブラリーからVCAM-1遺伝子をクローニングし、プロモーター領域のシークエンスを解析した。ハーバード大Gimbroneら提唱のSSRE (shear stress responsive element) はVCAM-1遺伝子には存在しないことを確認した。また、VCAM-1遺伝子の転写活性の変化をシフェラーゼアッセイにて測定したところ、VCAM-1遺伝子の転写活性は流れ負荷により有意に抑制された。(3.5dynes/cm2の流れずり応力24時間負荷で50%減少)VCAM-1遺伝子プロモーターを適当な長さに削除し転写活性を測定するdeletion analysisの結果から、流れ負荷による転写抑制に関連した遺伝子配列は転写開始点より-698b以内に存在することが示唆された。今回の研究により、マウス内皮細胞において血流に起因する流れずり応力は接着分子VCAM-1の発現をmRNAおよび蛋白のレベルで抑制するが、これはVCAM-1遺伝子の転写抑制に起因するものと考えられた。
|
Report
(1 results)
Research Products
(8 results)