Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
下肢麻痺者の起立歩行を補助するためには,下肢からの姿勢に関する体性感覚を補綴することが有効である.これを実行するための基礎的知見を得るため,健常被験者に対して以下のような実験を行った. (1)被験者を起立させ,随意的に体幹部を動かして姿勢を変化させる課題を行い,全身の重心の位置が体幹部に対して変化する様子を計測した.この結果から,体幹部の位置と重心位置は,姿勢の変化によって必ずしも一致しないが,体幹部と重心の移動方向と距離の間には一定の関係があることを示した.腰と足の間の相対的な位置関係から,間接的に重心の位置を推定する方法を考察した.(2)安定な歩行時の足の着地位置に対する荷重の中心位置と腰の位置の相対的な関係を測定した.その結果,荷重の中心位置は両足の外足縦アーチの間を移動すること,歩幅によって荷重の中心が足裏を前後方向に移動する領域が変化すること,腰の移動が荷重の移動と同期して左右に生じること,腰の振れ幅が歩行周期により狭くなることなどが見出された.歩行時の姿勢の安定性を判断する指標として,これらのパラメータの有効性を検討した.(3)重心位置と足の間の相対的な位置関係をヒトに呈示するため,体幹部の皮膚に電気的刺激を与える方法を検討した.人の姿勢変化を2次元空間内での位置の移動と考え,皮膚電気刺激により情報伝達する際の時間特性と空間特性を調べた.これより,本方法で姿勢変化の方向を十分な精度で伝えることができること,特にゆっくり変化する現象の呈示に適していることを明らかにした. 本研究を通じ姿勢に関する感覚フィードバック装置を開発する上で有用な知見を得た.研究代表者が提案する方法論が有効であることが,試作装置の運用を通じて理解された.今後は今回明らかになった検討課題を解決し,装置を改良して実用的なシステムとして機能させる必要がある.
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