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¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,八木アンテナのように波長オーダの微小寸法でありながら大きな電界増強効果を示し,輻射場を人工的に制御できる構造物の実現可能性を確かめるために,波長以下の数個の微粒子を波長以下の間隔で配列したときに,特定の微粒子サイズ・形状・間隔において特に強い散乱が生じることを実証することであった. 微粒子は電子顕微鏡試料室に取り付けられたナノマニピュレータをジョイスティックで操作して配列する.具体的な微粒子の配列方法としては,現象の単純化のために対称性の高い2次元三角格子を選び,微粒子間隔はまずは密着,すなわち細密充填とした.微粒子材料としては直径2μm,屈折率1.58のラテックス球を用い,評価は顕微分光測定により行なった. 三角格子配列の周期数が異なるいくつかのサンプルを製作し,その透過スペクトルを測定した.その結果,周期数が増えると急激に特定の波長での透過率が増大することがわかった.周期数1,すなわち単一の微小球の透過スペクトルは前方ミ-散乱スペクトルを表している.スペクトルは周期数2でもこれとほとんど変化しなかった.しかし,周期数4から6程度になると,スペクトルにはいくつかの鋭いピークが現れた.これは特定の散乱モードが周囲の微小球による散乱波と干渉して現れたものと考えられる. また,多層面心立方格子も製作し,その散乱パターンを系統的に調べてみたところ,格子間隔の数%のディスオーダがあるだけで,生じるべきブラッグ反射スポットがまったく消失してしまう現象が観察された. これらの結果は,数周期の微粒子配列により特定の散乱波が十分に増強できること,この散乱波強度は微粒子間隔に非常に敏感であることを示しており,光波帯での八木アンテナ型デバイスの実現可能性を示唆している.
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