魏晋南北朝期の山川遊記・紀行文の思想史的研究-地理的世界観との関わりを中心に-
Project/Area Number |
08871003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Chinese philosophy
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
薄井 俊二 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (90185009)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 山川遊記 / 紀行文 / 地理的世界観 / 魏晋南北朝期 / 廬山慧遠 |
Research Abstract |
魏晋南北朝期の山川遊記・紀行文の検討には、先ず関連する資料の入手、整理が欠かせない。 資料の入手については、「二十五史三篇」等、地理歴史関係の資料を数多く入手することができた。また、当該時期の長距離の旅遊としては、仏者による西域やインドへのものが見られる。これに関する資料としても、仏教関係では、「法顕伝 訳註」他、西域関係では「白鳥庫吉全集」他を入手することができ、ほぼ満足のいく資料が揃った。 上記資料の整理については、謝金を使用しながら進めた。漢代から唐代に至る、遊記・紀行文的資料を抽出し、テキストファイルの形で整理しつつある。近いうちに、文書の形で刊行の予定である。 さらに、上記資料の解読に基づく、当該時代の地理的世界観の解明については、取り敢えずいくつかの文献に絞り、考察を加えている。具体的には、廬山諸道人作と伝えられる「遊石門山詩並序」及び複数の廬山志を対象とする。「遊石門山詩並序」は、おそらく慧遠教団所属の一僧侶の手になるものと考えられる。山川の散策を契機として、自然との融合、そして信仰の深まりを実感するという内容のものである。山川遊記の先駆的作品というにとどまらず、自然への畏敬とその裏返しとしての人間社会、特に政治世界からの遊離独立を感じさせること、しかもそれが仏教世界という、政治とは別の権威に基づく世界の構築を指向していることなど、思想的に見ても極めて重要な資料であるといえる。数多く作られた廬山志とともに、慧遠教団の性格、そして当時の政治、宗教、文学、自然観、そしてそれらの交際を検討するうえで、有益な資料であると考える。現在訳註を作成中であるが、完成後は考察とともに刊行の予定である。
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Report
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Research Products
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