学習障害児における局在性大脳機能障害-認知・神経心理学的分析および局所脳血流量の検討-
Project/Area Number |
08871021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
教育・社会系心理学
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
宇野 彰 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・精神薄弱部, 室長 (10270688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 真澄 国立精神, 神経センター・精神保健研究所・精神薄弱部, 室長 (70203198)
加我 牧子 国立精神, 神経センター・精神保健研究所・精神薄弱部, 部長 (20142250)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 学習障害 / 大脳機能障害 / 神経心理学 / 認知神経心理学 / 局所脳血流量 / SPECT |
Research Abstract |
頭部MRIやCTなどでは形態的には局在性病変を認めないにもかかわらず特異的な神経心理学的症状を呈した学習障害児8例について、詳細な認知神経心理学的機能障害とMatsuda(1992,1993)の方法を用いた局在性血流量とを対応させ検討を行った。対象とした学習障害児は、5歳から12歳までのすべて一般的知的機能が高い特異的障害純粋例である。その内訳は音読や復唱ができるにもかかわらず意味の理解が困難な4例(意味理解障害児)、漢字の書字のみに障害が認められた2例(漢字書字障害児)、仮名と漢字の読み書きのみに障害の認められた1例(仮名漢字障害児)、記憶力に障害の認められた1例である。漢字書字障害児と漢字仮名障害児の計3例に関しては自家製の視覚刺激および聴覚刺激によるP300とミスマッチネガティビティなど事象関連電位を施行した。その結果、意味理解障害児では全例が非言語的視覚的課題には障害を示さなかったのに対して言語的課題に対してのみ意味理解障害を示し、左側頭葉の血流量低下が有意に認められた。漢字書字障害児では、視覚的認知障害を伴う1例では側頭・後頭葉が、視覚的認知障害を伴わない1例では左側頭葉のみの血流量が有意に低下していた。仮名漢字障害児は視覚的認知障害を伴っていることが判明し左側頭・頭頂・後頭葉の血流量が有意に低下していた。これらの結果は、純粋例として考えられる学習障害児の局在性大脳機能部位は、成人例からえられた認知神経心理学的データと対応する症例が多いことを示しているように思える。学習障害児は大脳機能障害との関連に関しては必ずしも言及されないが、明確な局在性大脳機能障害が認められる症例が複数存在することが認知神経心理学的分析とSPECTによる局所大脳血流量測定から明らかになったのではないかと考えた。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)