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¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
表題物質に属する(DMeDCNQI)_2Cuでは,一次元的にならぶ有機DMeDCNQI分子のπ電子と隣接するCu原子のd電子が混成しているが,加圧またはXの部分の置換により,金属絶縁体転移を起こす。加圧下での構造測定は困難なため,置換体(DXDCNQI)2Cu(X=Iヨウ素以外)で常圧下で起こる金属絶縁体転移に伴う構造変化が系統的に研究され,置換体での金属絶縁体転移は,CDW転移とMott転移とが電荷移動を通じ協同的に起こるということがほぼ明かにされてきた。本研究は実際に圧力下でX線構造解析およびX線散漫散乱実験をおこなった。その段階で,S/Nを上昇させるための光学系の改良,吸収の数値補正プログラムの開発,圧力セルに対応した測定モードの開発をおこなった。その結果,高圧下でもR因子4〜5%程度の高信頼度の構造解析がおこなえるようになった。 得られた結果は以下の通りである。1)(DMeDCNQI)_2Cuの高圧下絶縁相でも,置換体で見られたようにCu回りの配位角が増加し,電荷移動量の増加に寄与している。2)高圧下でも,3倍の超格子が発生しており,CDW転移とMott転移が同時に生じている。なお低温高圧で特徴的な金属絶縁体転移を起こす(DIDCNQI)_2Cuでは,圧力下での配位角の増加は(DMeDCNQI)_2Cuより少ないことが明かになった。これにより,(DIDCNQI)_2Cuでは,電荷移動が金属絶縁体転移に本質的に関与していない可能性がある。この他,(DMeDCNQI)_2Cu,(DIDCNQI)_2Cu,(DIDCNQI)_2Agの圧縮率を測定した。この結果,DCNQIの積み重なっているc軸方向の圧縮率は物質に依存しないが,鎖間a軸方向では(DIDCNQI)_2Cuが他の物質の約2/3である事がわかった。
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