Project/Area Number |
08874032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20113623)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 樹枝状成長 / 氷結晶 / 界面張力 / 界面カイネティクス / 異方性 / 先端分裂 / 形態形成 |
Research Abstract |
過冷却水中で成長する氷結晶の樹枝状結晶では、過冷却度の小さいときに先端分裂現象が観察される。しかし、過冷却度が0.5K以上になると先端部は安定化し、この現象は見られない。本研究は、この様な特徴的な現象の発生機構の解明を目的とする。 先端分裂現象をその場観察するために、大型の結晶成長容器(球形で直径10cm)を作成した。この容器に純水を充填して、所定の過冷却温度に冷却する。容器に挿入したガラス毛細管の一端で結晶を核生成させると、他端には単結晶の氷結晶が現れる。この結晶をマッハツエンダー干渉光学系を通して、長距離顕微鏡で観察した。その結果、過冷却度が0.45K以下では、2次枝の発生とは異なる周期で先端分裂が周期的に発生することを確認した。 低過冷却度での成長における先端分裂の発生は、次のような機構で起こる。氷結晶のC軸に平行な面(柱面)内では、界面張力の異方性が極めて弱い。しかし、別に行われた氷結晶の一方向凝固実験では、上記面内での界面カイネティクス(結晶成長界面での分子の取り込みの抵抗)の異方性の効果は、成長速度の上昇とともに急激に増加することが示された。すなわち、過冷却度の小さいとき(成長速度の遅い時)は、カイネティクスの異方性の効果は殆ど作用せず、界面張力の異方性でのみ結晶の形態は支配される。しかし、氷ではこの効果が小さいため先端分裂が発生する。一方、過冷却度が上昇する(成長速度が早い時)とカイネティクスの異方性の効果で樹枝状結晶の成長方向が安定化され、もはや先端分裂は発生しない。すなわち、氷の樹枝状成長は、成長速度に応じて結晶の形態形成を支配するファクターが変化する事を示している。この様な性質を顕著に示す物質は他にはなく、氷結晶特有のものである。今後、この性質を利用することで、結晶の形態形成機構の理解に大きな寄与をするものと考えられ、萌芽的研究を十分に果たした。
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