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¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
交流磁場中におけるガ-ネット薄膜の磁壁移動による磁区構造の緩和過程に関する研究を行った.ガ-ネット薄膜では赤外および可視光の長波長領域でのファラデー効果を用いて,その磁区構造を偏光顕微鏡によって観測することができる.磁化容易軸,つまり膜面に対して垂直方向に磁場を加えて試料を単磁区化した後に磁場を急速に取り除くと,渦巻き状の磁区が複雑に組み合わさった構造が観測される.その後,数百ガウスの交流磁場(本実験では0.25Hz)を繰り返し加えることによって,この磁区構造に変化が発生する.このとき帯状の磁区がY字状に分岐する点に着目し,定量的解析を行った.このY字状分岐の数は,交流磁場を加えることによって指数関数的に減少する.これは急激な磁場変化のために凍結されていた構造が,摂動磁場によって緩和する過程であると考えられる.さらにその分岐点の空間的分布を調べるために,相関積分法を用いた解析を行った.初期状態では相関距離と相関積分の両対数プロットは傾きが約2の直線上にあり,薄膜の2次元平面上にほぼ均等に分布していることがわかる.交流磁場を加えた後には,相関距離の短い領域で傾きが1.5程度と2次元から1次元の方向に変化する傾向が読み取れた.これは,最初渦巻状に入り組んでいた磁区構造が,磁壁が平行にそろったストライプ状の構造に変化するためと思われる.つまり,磁壁が平行にそろった各領域の中ではY字状分岐が減少し,隣接するストライプ状領域との境界上に沿って1次元的に分岐が残るためである.この時,両対数プロットの傾きが変化する相関距離はストライプ状構造の特徴的長さを与えていると考えられる.
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