Project/Area Number |
08874070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小川 智 岩手大学, 工学部, 助教授 (70224102)
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Project Period (FY) |
1996 – 1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1997: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 高周期典型元素 / カルコゲン元素 / 7π電子系 / 7πラジカル / 一電子移動 / 酸化還元 / 常磁性化学種 / 分子デバイス / 複素5員環化合物 / 酸化還元システム / 7πラジカルカチオン / 分子積層 / 導電性 |
Research Abstract |
複素5員環内に二つ以上の高周期典型元素を含む環構造は、特異なπ系である7π電子系の創製が期待される。この現象は、新規なπ系の構築のみならず、イオン性あるいは中性分子からの可逆的一電子移動過程の解明、さらには、安定な常磁性化学種の酸化還元挙動に関し、多くの情報をもたらすモデル系となる。また、その延長線上には、新規な有機分子デバイスの開発が位置付けられる。そこで、本研究では、一電子移動の可逆過程における双方の化学種を安定に単離し、その構造確定、および可逆一電子相互変換システムの構築を目的とし、化合物の設計、合成、および電気特性の評価を行った。本研究の成果をまとめると以下のようになる。デバイス機能を有機分子に持たせるという点は、新規に分子設計、合成した高周期典型元素含有π電子系化合物を用いることにより達成できたと考えられる。その中核となった複素5員環内に高周期カルコゲン元素を導入した化合物群から誘導される常磁性化学種である7πラジカル群は予想以上に安定であり、可逆な一電子相互変換システムとして十分に耐えうるものであることがわかった。外的一次刺激を電子一つとする点では、電気化学的および化学的手法のいずれの場合にも良好な応答性を示した。この一次応答について、トリカルコゲノールの場合には、分子のダイナミックな構造変化を伴い、相当する一電子酸化種である平面性7πトリカルコゲノリウムラジカルカチオンへの変換が証明された。さらに温度の協同効果により、ラジカルカチオンの溶液中でも分子積層の部分的な二重化という二次応答がみられた。ジカルコゲノリウム塩の場合も一電子応答による7π中性ジカルコゲノリルラジカルへの容易な変換が可能で、この中性ラジカルは、溶液中ではあるが、低温でも常磁性を示した。これらは、導電性材料への応用が期待できる。
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