かさ高い置換基の配座固定を利用した安定なケイ素カチオン種の合成とその構造
Project/Area Number |
08874073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
時任 宣博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90197864)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | シリセニウムイオン / ジベンゾシロール / ヒドリド引き抜き / トリチルカチオン / クロロシラン / 塩素引き抜き |
Research Abstract |
まず、申請者らの開発した有用な立体保護基である2,4,6-tirs[bis(trimethylsilyl)methyl]phenyl)基(以下Ar基と略)をケイ素上に導入したモノアリールトリヒドロシラン(ArSiH_3)1を合成した。次いで、ジブロモベンゼンの還元的カップリングにより2,2'-ジブロモビフェニル2を合成し、2のリチウム-ハロゲン交換反応により調製したジリチオ体をエーテル中へキサメチルリン酸トリアミドの共存下-35℃で1と反応させたところ、ケイ素原子上にAr基を有するジベンゾシロール誘導体3を63%の収率で安定な白色結晶として単離することに成功した。得られたヒドロシラン3に関しては、X線結晶解析を行い当初の分子設計通り3のシロール環とAr基の芳香環がほぼ直交した配座をとっていることを確認した。上記の反応で合成した前駆体3からのトリチルカチオンによるヒドリド引き抜き反応によるシリセニウムイオンの発生を目的として、NMR管封管中重トルエンを反応溶媒としトリチルテトラフェニルボラート(Ph_3CBF_4)と200℃で加熱し^1H-NMRにより反応を追跡したところ、原料のSi-Hのシグナルが徐々に消失し、新たにトリチルカチオンのヒドリド引き抜きによって生じたと考えられるトリフェニルメタン(Ph_3CH)のメチンピークが出現し徐々に増大した。反応混合物を分離精製した結果、原料の3を44%回収するとともに、トリフェニルメタン(10%)および3のシロール環のケイ素原子上に水酸基やフッ素原子が置換した化合物がそれぞれ1%、2%と低収率ながら単離された。これらの結果は本反応系におけるシリセニウムイオンの生成を示唆するものであるが、今後安定なシリセニウムイオンを得るためには、立体的に嵩高くしかもより反応性の高いヒドリド引き抜き試剤との反応を検討する必要がある。一方、シリセニウムイオンの別途発生法として、五塩化アンチモンを用いて3のケイ素原子上を塩素化したクロロシラン4からの塩素引き抜き反応を検討したところ、顕著な呈色反応が観測されたものの、反応は極めて複雑となり生成物を同定するには至らなかった。今後、^<29>Si-NMRを用いた反応の初期過程の追跡を行う予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)