新規な電子供与性三脚配位子による高原子価金属錯体の創成
Project/Area Number |
08874081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
瀬恒 潤一郎 神戸大学, 理学部, 助教授 (10117997)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 銅錯体 / ジピリルメタン / 三脚配位子 |
Research Abstract |
近年、イミダゾール、ピリジン、ピラゾール等の複素環化合物を集積化させることにより得られる多座配位子を用いて、種々の非ヘム系金属酵素のモデル錯体が合成されている。窒素ベース系の複素環の一つであるピロールが配位子として機能するためには酸性度の乏しいNHプロトンの解離を必要とするために,ピロールの金属錯体は生物無機化学的にも錯体化学的にも殆ど研究例がない。しかしながら,銅亜鉛SOD等の例に見られるように、ヒスチジンのイミダソ-ル窒素、トリプトファンのインドール窒素、ペプチド鎖のアミド窒素等は脱プロトン化により、強い配位子場を提供する事が可能であり、これらは金属の電子状態を大きく変化させる手段となりうる。このような観点から、本研究では、ピロールとピリジンの組み合わせによる新規窒素ベース三脚配位子を用いた銅錯体の合成、構造、反応について検討を行った。 2-ピリジル-2,2'-(3,3'-ジメチル-4,4'-ジエチル-5,5'-ジベンゾイル)ジピロリルメタン(1)、過塩素酸銅6水塩、トリエチルアミン、ジクロロメタン、メタノールの混合物を室温で反応させた後、クロマトグラフィーで精製することにより、緑色の錯体(2)が82%の収率で得られた。その構造は元素分析、IR、FABMS、ESRによって同定した。2の収率はアルゴン雰囲気下で1当量の過塩素酸銅を用いた場合に最も良く、82%であった。空気雰囲気下あるいは過剰量の過塩素酸銅を用いると収率の低下がみられ、空気中で2当量の過塩素酸銅を用いた場合には、錯体は殆ど得られず、ピボット位の酸化された化合物であるメトキシ-2-ピリジル-2,2'-(3,3'-ジメチル-4,4'-ジエチル-5,5'-ジベンゾイル)ジピロリルメタン(3)が76%の収率で得られた。錯体2のX線結晶解析により、四角錐の配位ジオメトリーを持つ2つの銅が対称心を持って配置された複核銅錯体の構造が明らかになった。以上のように、新規な含ピロール三脚配位子を用いて、新しい中性の銅2価複核錯体が得られることを明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)