Research Abstract |
植物細胞において,タンパク質の分泌過程は,細胞骨格系と協同して細胞の極性と伸長方向を決定していくという重要な意義を持つ,本研究では,植物における分泌の研究に,酵母で大きな成功を見ている分子遺伝学的アプローチを導入することを目指した.タバコとシロイヌナズナのcDNAを酵母で発現する実験系を構築し,以下の研究を行った. 1,小胞体-ゴルジ体間輸送に働く酵母遺伝子SAR1のタバコとシロイヌナズナの相同遺伝子を得,これが酵母SAR1欠失株を相補することを利用してさまざまな変異の解析を行った.その結果,H74LとN129Iという変異アレルが植物の野生型SAR1に対して優性致死に働くことを明らかにし,植物で発現調節することにより条件致死変異株を作成する展望を開いた. 2,GAL1プロモーターの支配下に酵母内で条件的に発現するシロイヌナズナcDNAライブラリーを構築し,これを用いて酵母sec15ts変異を抑圧するシロイヌナズナ遺伝子RMA1を同定した.この遺伝子は,RING fingerモチーフを持つ新しいタイプの膜タンパク質をコードしていた. 3,シロイヌナズナの低分子量GTPase Ara4を発現することが酵母のypt1,ypt3,sec4変異株の生育を悪くすることを利用して得た,Ara4の制御因子AtGDIについて,さらに解析を進め,クロスハイブリダイゼーションによって第2の遺伝子AtGDI2を同定した.
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