Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本年度は,とくに場の理論(量子論)的アプローチを新たに導入することにより現象を自ら駆動し得る理論体系への拡張を図った.パターン形成を含む転位過程を巨視的数の転位集団が示す協同現象.すなわち一種の相転移と捉え,その合理的記述に「場」の概念と理論的手法を用いた.まず転位を秩序場の素励起と捉え,現象論であるGinzburg-Landau理論に基づき,支配方程式(Ginzburg-Landau方程式)を導出し,これが反応-拡散方程式と一致することを示した.また,同方程式は,結晶体内で転位群を含む系の第二量子化されたハミルトニアンが与えられれば,原理的に厳密に導出できることをGor'kovの方法に基づき指摘した.さらに,転位は結晶空間というそれ自身トポロジカルな背景にあるトポロジカルな欠陥であり,したがって,転位を背景と独立した自由粒子的に取り扱うことはできない.すなわち,背景場との相互作用を考慮する必要がある.そのための二通りの方法.すなわち(1)ゲージ場を導入する.および(2)微分幾何学的制約条件を課す,を提案した.両者は数学的に等価であり.とくに(1)のゲージ場を導入することにより,ゲージ変換に伴う理論(作用積分)の不変性の要請から接続係数,さらにはねじれや曲率が自然に導入され,非リーマン塑性論における欠陥場との対応関係が得られることを示した.最後に,より複雑な転位挙動,すなわち転位tangleによる3次元セル構造形成等に対しては,新たなゲージ場の導入が必要であることを指摘した.一例としてChern-Simonsゲージ場を導入した場合について検討を加えた.すなわち,同ゲージ汎関数を経路積分で表した形式は2特異線間の相関関数を意味するが,これはGaussの絡み数と呼ばれる位相不変量を与えることが知られている.上記特異線を転位線とみなすと,このことは転位間のentlanglement挙動が,そのミクロな詳細に依存しない大域的な位相不変量で記述できる可能性を示唆している.
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