Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1997: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究は,気液界面で過飽和状態にある蒸気の相変化(凝縮)現象,とくに,相変化速度,相変化のメカニズム,凝縮係数とその温度・密度依存性,等を分子レベルで解明することを目的としてなされたものである.強い会合性のために相変化に影響を与えると予想されるメタノール蒸気および酢酸蒸気に対して,衝撃波管による実験,気体力学の理論解析,分子動力学シミュレーションを行い,以下のことを明らかにした. 1.酢酸蒸気は強い会合性のために常温においても二量体を形成し,実験データの整理および凝縮係数の決定に必要な諸熱物性値は化学平衡論に基づいて求めなければならない.また,メタノール蒸気はほぼ単量体として扱える. 2.メタノールおよび酢酸のいずれの蒸気においても,凝縮係数は気液界面での蒸気の温度および密度に強く依存している.すなわち,凝縮係数は温度が高いほど大きく,密度が高いほど小さくなる.全体に,凝縮係数は酢酸蒸気の場合の方がメタノール蒸気の場合よりも大きい. 3.メタノールの相変化の時空相関現象は,凝縮分子により液体分子の蒸発が影響を受け,凝縮後5ps程度以下の時間範囲では蒸発の割合が低く,約10ps経過後最も高くなり,その後時間の経過とともに減少する.また,空間的には凝縮位置から離れるにしたがい蒸発分子に対する凝縮分子の影響が弱くなる. 以上の結果は,今後,相変化のメカニズムをモデル化する際にきわめて有用な知見を提供するものである.
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