癌細胞へのホメオボックス遺伝子導入による転移能の変化に関する研究
Project/Area Number |
08877046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Experimental pathology
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
守内 哲也 北海道大学, 医学部, 教授 (20174394)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ホメオボックス / HOXD3 / インテグリン / 細胞接着 / 位置 |
Research Abstract |
動物胚の発生過程において形態シグナルを位置情報に変換する遺伝子はホメオボックス遺伝子と呼ばれる。この遺伝子は、形態シグナルを位置情報に変換して細胞と細胞あるいは細胞と細胞外基質の相互作用を通して形態形成を調節する。癌の転移および組織形態の異常を発生生物学的に考察すると、基本的には細胞の持つ固有の位置情報の変化が原因と考えることができる。本研究では、我々がクローニングに成功したHOX D3ホメオボックス遺伝子を癌細胞に導入して癌細胞の運動能、浸潤、組織形態および転移能が変化するか否かを調べた。HOXD3遺伝子を発現ベクターpMAMneoに組み込んでヒト乳癌細胞株MCF-7に導入し、安定に発現をする細胞をクローニングした。対照としてneo遺伝子のみを発現する細胞を作製した。両者および親株の生物学的な相違を調べた結果、HOXD3発現細胞では、haptotaxisis(接触走化性)が著しく低下した。インテグリンの発現を調べたところ、インテグリンβ3は全く発現しておらず、インテグリンαの発現量は全く変化しなかった。一方、ヒト肺癌細胞株A549で同様な実験を行ったところ、インテグリンβ3の発現が増加し、haptotaxisが著しく上昇した。以上の結果から、本来インテグリンβ3を全く発現していないMCF-7細胞ではHOXD3によってhaptotaxisが低下し、本来インテグリンβ3をわずかに発現しているA549細胞ではHOXD3によってインテグリンβ3とhaptotaxisが上昇する結果が得られた。現在、HOXD3が癌細胞のhaptotaxisを制御する機序を解析中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)