Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
|
Research Abstract |
ヘリコバクタ・ピロリ感染によって生じる胃MALTリンパ腫では腫瘍Bリンパ球(CD19,20陽性)は成熟形質細胞へと分化しうる。このためMALTリンパ腫では、単クローン性の免疫グロブリン(M蛋白)の産生を認めるが、これらの抗体が、どのような抗原を認識しているかは明かでない。そこで本研究ではヒト胃MALTリンパ腫が産生する免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、その対応抗原を明らかにすることを目的とした。 胃MALTリンパ腫組織(5例)のRNAから免疫グロブリンH鎖VH,L鎖Vk,VλをプライマーとしてcDNAを得、これをベクターに組み込んだ後E.Coliの表面に発現させた。そしてこれにH.pylori菌やMALToma組織の抽出物を反応させて、数個のクローンを得た。その後これらの抗体を抽出して、免疫染色を行ったところ、これらの抗体はH.pyloriのCagA,新しい膜蛋白質2種、さらに胃のDC(樹状細胞)、血管壁、胃上皮細胞(腺粘液細胞)と反応することが認められた。これらのクローンはそれぞれ1,2,5,2,3個得られた。したがってMALToma細胞は自己抗体を産生している例が多いことが明らかとなった。またこれらの抗体はすべて正常の免疫グロブリンであった。さらにH.pyloriと胃粘膜の間で、交叉反応を示すものはなかった。一方、これらの抗体をクローニングした症例は全例H.pyloriに対する除菌療法で治癒した。以上より胃MALTomaの腫瘍細胞はH.pyloriに対する抗体、あるいは自己抗体を産生していることが明らかとなった。現在MALToma細胞に対して抗原刺激となっていると考えられるH.pyoloriの膜蛋白質について解析中である。
|