Research Abstract |
ヒト大腸癌細胞株を用いて5-FUのbiochemical modulation (BM)効果をMTTassayにて検討し,IL-2の5-FUに対するBM効果の機序について生化学および分子薬理学的に検討した. MTT assayにおいて,C1およびC1/FUにおける,IL-2単独のSurvival Curveでは,高濃度にてわずかに抗腫瘍効果がみとめられたが,IC50には至らなかった.同じくC1およびC1/FUにおける,5FU単独,IL-2併用のSurvival Curveでは,いずれの細胞においても,IL-2は5FUの抗腫瘍効果をC1では2.7倍,5FU獲得耐性株であるC1/FUにおいて9.7倍増強し、5FU耐性株ですぐれた効果を認めた.このことにより,IL-2が5-FUのmodulatorとして有効であり,5-FUの抗腫瘍効果を増強し,特にC1/FUでは5-FU耐性を克服していると考えられた. 生化学的,分子薬理学的分析では,5-FUの代謝酵素,核酸への取り込みに対してIL-2は有意の作用を示さなかった. C1およびC1/FUにおいてThymidylate synthase (TS)阻害率は,IL-2によって上昇し,同様にTS catalytic activityはC1,C1/FUともにIL-2併用によって抑制された. 以上より,IL-2は5-FUのBMとして有用であり,その作用機序としてTSレベルで5-FUの抗腫瘍効果を修飾すると考えられた. 現在,雑誌論文投稿準備中である.
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