Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
インスリンを分泌し、血糖値を保つ膵β細胞は、最終分化状態にあり、そのターンオーバーの割合は極めて低いと考えられている。しかし近年、膵β細胞の容量は成年後においてもダイナミックに変化するという知見が得られ、注目されている。たとえば肥満等インスリン抵抗性を主体とする糖尿病においては、膵β細胞が代償性に肥大・再生・増殖し、その容量増大の程度が糖尿病の発症や重症度に影響する可能性が示唆されている。しかし膵β細胞の増殖・分化に関わる因子の分子レベルでの同定はなされていない。我々は多くの組織の増殖・分化因子の受容体がチロシンキナーゼ活性を持つことをふまえて、膵ラ氏島に発現する受容体チロシンキナーゼを約1000個スクリーニングした。その結果、膵β細胞に特異的に発現の強い、リガンドが未知のオルファン受容体を見出した。本遺伝子の発現は、極めて少数の細胞に限局しており、その組織特異的な機能が予想される。現在この遺伝子の発現細胞、年齢・糖尿病状態・カロリー制限などによる発現レベルの変化を、RT-PCR法、Westermblot法、免疫染色法などで詳細に検討している。またリガンド既知のチロシン受容体の細胞外領域と、本受容体の細胞内キナーゼ領域とのキメラ受容体を膵β細胞株に発現させ、リガンド投与により、本受容体シグナル伝達系を賦活させ、膵β細胞株の増殖への効果を検討中である。さらに、本受容体のリガンドを発現している組織の同定を試みており、今後、本受容体系の膵β細胞の増殖・分化・再生などに関わる機能を明らかにしていきたい。
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