Project/Area Number |
08877169
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Hematology
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松井 利充 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (10219371)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | カゼインキナーゼ / 造血器腫瘍 / DNA損傷 / DNA修復 / 細胞増殖 / 細胞分化 / 出芽酵母 / ヒト染色体 |
Research Abstract |
白血病をはじめ種々の造血器疾患が後天的な遺伝子変異に基づき発症する。さらに、変異(損傷)を受けたDNAの監視・修復機構の異常もヒト癌の発生に深く関与していることが、大腸菌や酵母のDNA損傷修復機構の解析をもとに最近明らかにされている。今回私共は、出芽酵母のDNA損傷の監視・修復に関与している遺伝子として見いだされたHRR25(Science 253:1031,1991)のヒトホモログ(カゼインキナーゼ(CK)I-δおよびCKI-ε)を単離し、ヒト正常末梢血および造血器腫瘍細胞株における発現を解析した。 CKI-δおよびCKI-ε遺伝子は、各々ヒト染色体17q25および22q12-13に独立して存在するが、全アミノ酸配列で77%、キナーゼ領域で98%の相同性を示すため、特異的な領域のみのcDNAプローブを作成し、RNAブロット法に供した。これらの遺伝子は、大脳、心、肺、肝、脾、腎、膵、骨格筋、胎盤などに広く、それぞれの組織に特異的な発現様式を示した。正常人末梢血では、多核白血球および非付着単核球分画にCKI-δが強く発現し、CKI-ε発現は認めなかった。前骨髄球性細胞株HL-60にビタミンD_3およびレチノイン酸を処理しそれぞれ単球と顆粒球系細胞に分化誘導したところ、顆粒球分化に伴いCKI-εのみが著しく発現低下した。線維芽細胞では細胞周期の変化に伴う明らかな発現変化は見られず、細胞分化に伴う発現調節と考えらえた。白血球細胞株にはCKI-δのみならずCKI-εも骨髄性、T-、Bーリンパ性細胞株に発現していた。機能的にもHRR25と相同と考えられるCKI-δおよびCKI-ε遺伝子には、それぞれ特異的な、細胞分化に伴う発現調節機構が存在すると考えられた。今後、ヒトDNA損傷・修復における機能的役割の解明が重要である。
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