Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1997: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
肝細胞癌の遺伝子診断は未だ確率されたもなはなく,また,前癌病変,境界病変といわれるものの取り扱いや,慢性肝炎の経過観察中に発見される早期の病変に対する確定診断に苦慮する場合も少なくない. そこで,本研究では,肝細胞の分化を調節する肝特異転写因子HNF1に着目し,HNF1の発現様式が癌化とともに変化がみられることから,肝細胞癌に対する遺伝子診断法としての実用化を試みた.肝特異転写因子HNF1には,相同性の高いHNF1αとHNF1βが存在し,遺伝子の転写調節領域に競合的に結合して,肝臓で作られる蛋白の発現を調節している. 肝細胞癌組織からRNAを抽出し,競合的RT-PCR法にてHNF1α/HNF1βmRNA発現比(α/β比)を検索した結果,高分化型肝癌でその発現比が高く,一方,中・低分化型肝癌,慢性肝炎,肝硬変を含む非癌肝組織では等または低レベルであった.また,α/β比の高いものでは,肝細胞癌の腫瘍マーカーである血清α-fetoprotein(AFP)が低いか正常範囲内のものが多かった. 高分化型で,血清AFPも正常値を示すような早期肝癌や,また,画像で確定診断に苦慮するような細小肝癌においても,肝生検材料等を用いてα/β比を測定するこのような遺伝子診断法が高分化型肝癌の補助診断法として有用性を発揮するものとして期待される.さらに症例を集積し,α/β比の検索が肝癌の悪性度評価や予後因子としても有用な指標になりうるかどうか,引き続き検討を加えている.
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