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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
RNAの構造と機能の関係を明らかにするためには,RNA分子の運動性を解析することが必要である.しかしながら,現在のところRNA分子中の個々の残基の運動性を定量的に評価する方法は,確立されていない.そこで,本研究はRNAの各残基にその運動性を評価するためのプローブを導入する方法を開発した.現在のところ,分子の局所的な運動性を解析する手法としては,NMRがもっとも優れている.本研究では,RNAのリボースのC1'位を選択的に^<13>C核で標識する方法を考察し,実現した.これによって,残基あたり1つの^<13>C核のNMRシグナルを観測することが可能であり,その緩和速度を解析することによって,運動性の評価を定量的に行うことが可能である.C1'位選択的な標識を行うために,大腸菌の変異株MT1222を作成した.この大腸菌株では,培地中に栄養分として加えたグルコースをペントースリン酸経路のみによって代謝する.核酸のリボースはこの経路から生合成されるので,その原料としてのグルコースに位置選択的な標識を導入しておけば,生産されるリボースにも位置選択的に標識が導入されることになる.通常の大腸菌を用いた場合には,グルコースが主に解糖系によって代謝されるため,位置選択的に標識したグルコースを用いても,解糖系で分解・再合成を繰り返すために標識が分散し,希釈されてしまう.この点で,本研究によって開発した手法は優れている.本研究では,実際にこの大腸菌株を用いて大量培養を行い,細胞中に存在する転移RNA(tRNA)を単離精製した.このtRNAについて13C-1H NMRスペクトルを測定したところ,標識されたC1'に結合した1Hのシグナルを選択的に観測できることがわかった.今後,この手法によって15〜20残基程度のRNAを調製し,運動性解析を行う予定である.
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