細胞外マトリックス分子テネイシン遺伝子ノックアウトマウスの行動異常と脳内神経伝達
Project/Area Number |
08878153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neuroscience in general
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
深間内 文彦 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (90240746)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | テネイシン / ノックアウトマウス / 行動異常 / ドーパミン / セロトニン / チロシン水酸化酵素 |
Research Abstract |
テネイシンは小脳顆粒細胞の垂直移動を誘導あるいは修飾していることが明らかにされており、また神経発生後期に大脳皮質や海馬の神経細胞に強く発現していることから、情動、記憶、学習などの高次神経機能にも関与している可能性が高い。テネイシン遺伝子の第2exonを標的遺伝子組換えにより欠失させたマウスのなかに、体重増加不良、低妊娠率、サーカディアンリズムの乱れ、新規環境への馴化困難などをはじめとして、終始落ち着きのない多動性、オープンフィールドにおける回転性の常同運動、さらに足の届かない水槽にマウスをいれた場合、すぐさま溺水状態に陥り、繰り返し学習させてもこの溺水を回避できないなどの特徴的な行動異常を示す固体が存在することを見出した。F2世代ではテネイシン遺伝子をホモで欠失したノックアウトマウスのうち約25%において上記のように、正常なマウスとは明らかに異なる行動パターンをとる固体が見出されるのに対し、片側欠失のヘテロマウスおよび野生型には1例もこのような異常行動を示す固体はみられなかった。過剰な行動量と水泳異常に着目して行動薬理学的な実験を試みたところ、ドーパミンD2/D3受容体の作動薬であるLY-171555が多動を抑制し、セロトニン2A/2C受容体の作動薬である1-(2,5-dimethoxy-4-iodophenyl)-2-aminopropane (DOI)が一時的ではあるが、テネイシンノックアウトマウスの溺水を回避させ水泳異常を改善させるというたいへん興味深い結果を得た。つぎに、行動異常を示すテネイシン遺伝子ノックアウトマウス、対照群としてヘテロマウスおよび野生型マウスについて脳内各部位(大脳皮質、線条体、海馬、小脳)を取り出し、各サンプルの酸性抽出液を処理して電気検出器付高速液体クロマトグラフィーにより、ドーパミン、セロトニンを中心にモノアミン神経伝達物質とその代謝産物を分析測定したところ、セロトニンでは大脳皮質と海馬で、ドーパミンに関しては線条体と海馬でそれぞれの代謝回転率が低下していることが確かめられた。行動異常はヘテロには認められず、ノックアウトマウス(ホモ)にのみみられるものではあるが、ノックアウトマウス全体の約1/4にしか現れないことは、Mendelの法則から考えても、テネイシン遺伝子の欠失に加えてなんらかの別の遺伝子の影響下に行動異常が表現型としてはじめて出現することを示唆している。行動異常を伴うノックアウトマウスと、伴わないノックアウトマウスについて、カテコールアミン生合成の律速段階として調節を受けるチロシン水酸化酵素の中脳領域におけるmRNAの発現量を比較したところ、行動異常を伴うノックアウトマウスでは有意に低下しており、脳内ドーパミンニューロンの終末部におけるドーパミン代謝回転の低下の要因の一部はチロシン水酸化酵素遺伝子の転写量の低下あるいはmRNAの不安定性に起因するものではないかと考えられ、同時にこの酵素の機能低下がテネイシン遺伝子破壊と干渉し、行動異常を表出せるのではないかと推察された。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)