Project/Area Number |
08J08725
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Environmental dynamic analysis
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩崎 絵利果 Nagoya University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | オゾン層回復 / 揮発性有機化合物 / 反応速度 / 塩素原子 / 不飽和炭化水素 / 臭素原子 / レーザー誘起蛍光法 |
Research Abstract |
対流圏における不飽和炭化水素類と塩素原子反応の実験的研究 BrやClといったハロゲン原子の反応は、大気中のオゾン濃度に大きな影響を与えることが知られている。また、不飽和炭化水素(アルケン)類は、その反応性の高さから、都市域において高濃度の光化学スモッグが発生する一因ともなっている。特に人為排出において、エチレン(C_2H_4)やプロピレン(C_3H_6)、アセチレン(C_2H_2)といった低分子量のアルケン類の排出量が多く、これらアルケン類とCl原子との大気反応過程の理解が、大気オゾン濃度の将来予測のために必要である。 また、アルケン類とCl原子の反応は、圧力依存性を示す。付加反応とH原子引き抜き反応が複雑なバランスで競争している低圧側の反応を、高感度な実験手法を用いて詳しく調べることは、基礎的な反応機構の理解のためにも重要である。 本研究では、新しいレーザー技術であるレーザー光分解/真空紫外レーザー誘起蛍光(PLP-LIF)法を用いて、Cl原子と低分子アルケン類(C_2H_4、C_3H_6、C_2H_2)との絶対速度定数の測定を行った。測定は、全圧2-100Torr、室温(295±2K)、Cl原子の初期濃度に対して反応物の濃度が過多という擬一次条件にて行った。反応チャンバーにアルケン類(C_3H_6、C_2H_4、C_2H_2)/Cl_2/N_2の混合気体を流す。そこに351nm光分解レーザーを照射し、Cl_2光分解によってCl(^2P_<3/2>)を生成、アルケン類との反応によるCl(^2P_<3/2>)のLIF信号の減衰を観測した。減衰曲線フィッティングから得た擬一次反応速度を様々な反応物濃度に対してプロットし、直線の傾きからそれぞれの圧力条件における2次の速度定数を決定した。 本研究によって得られた反応速度k(Cl+C_3H_6)とk(C_2H_4+Cl)、k(C_2H_2+Cl)のいずれも、従来の異なる実験手法による測定値と非常に良く一致していることがわかった。過去の実験手法では、他の反応物とアルケン類との相対的な濃度変化によって速度定数を得る相対速度(RR)法によるものが主であった。一方、本研究(PLP-LIF法)は、134.72nmの真空紫外レーザー光によってCl(^2P_<3/2>)のLIF信号を直接検出して絶対速度定数を得ている。異なる案験手法による測定値の一致は、データの信頼性をより一層高め、将来の大気オゾン濃度予測の精度向上に役立つものとして重要である。
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