細胞内構造の分子形態学的解析から探る非光合成原生生物における植物型遺伝子の起源
Project/Area Number |
08J09894
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Morphology/Structure
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸山 真一朗 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2008: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 植物 / 葉緑体 / 原生生物 / 分子系統解析 / ゲノム / 細胞内共生 / スーパーコンピューター / シアノバクテリア / スーパーコンピュータ |
Research Abstract |
本研究では、植物の誕生、即ちシアノバクテリア様生物の細胞内共生によって葉緑体(色素体)が獲得されて以来、共生体から宿主の真核生物のゲノム中へと移行してきた「植物型遺伝子」というものに注目し、藻類・非光合成原生生物においてそれらの遺伝子の進化的・機能的保存性を解明することを目的に解析を進めた。 昨年度の成果を基にして解析対象と規模を拡充させると共に、光合成を行う藻類にも解析の重点を移し、「光合成をする/しない」、「葉緑体を持つ/持たない」の境界にあるような真核生物群を対象としてゲノム規模での進化生物学的解析を行った。その結果、現在葉緑体を持つ生物でも太古の地球では別の系統の藻類と遺伝子の伝達交換をしていた可能性が示唆され、地球環境において最も重要な生物的エネルギー転換である光合成の進化という点でも、ゲノムのモザイク的な進化が大きな役割を果たしていることが示された(Yang et al. submitted、 Maruyama et al. editorially accepted)。また、二次共生による色素体の獲得過程において痕跡化した、ヌクレオモルフという共生体核において、これまで核ゲノム中には存在しないと考えられていた、遺伝子が、遺伝子構造の前半と後半が逆順にコードされた「逆順tRNA遺伝子」としてゲノム中に存在し、実際に転写され、タンパク質翻訳に寄与していることを示唆した(Maruyama et al. 2010 Mol Biol Evol)。さらに、共生体と宿主という枠を超え、寄生植物(ストライガ)と宿主植物という共生関係にある真核生物間においても、進化的時間軸で見た場合に比較的「最近」起こった遺伝子の水平伝達により寄生生物のゲノム進化が進んで来たことを示した(Yoshida et al. 2010 Science)。こうした解析により、真核生物ゲノムの複雑性が生物間の遺伝子交流・水平伝達・細胞内共生的伝達によってもたらされるというゲノム進化の基本原理とも言うべき進化過程を明らかにすることができた。
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Report
(3 results)
Research Products
(19 results)