Project/Area Number |
08J11323
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Neurochemistry/Neuropharmacology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 淳也 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 海馬歯状回 / 顆粒細胞 / 熱性けいれん / 側頭葉てんかん / 苔状線維巨大終末 / cAMP / 苔状線維終末 / 樹状突起 / GABA |
Research Abstract |
現在私は、熱性けいれんが海馬に与える影響を調べている。これは、熱性けいれんが歯状回の形成時期である乳幼児期に生じ、側頭葉てんかん患者の約60%が過去に熱性けいれんを経験しているためである。海馬歯状回を構成する顆粒細胞は、巨大な軸索終末(苔状線維巨大終末、以下LMTsと称する)を有し、シナプス後細胞を強く興奮させる能力を持つ。そのため、私は、熱性けいれんがLMTs形成に異常をきたし、海馬の興奮性上昇を介して将来のてんかん発症に寄与するという仮説を立てた。一部の神経細胞が可視化されるThy1-mGFPマウスにヘアドライヤーを用いて高熱を誘導(体温を40-42℃に30分間維持)した。熱性けいれん群では、LMTsが本来の投射先である明瞭層ではなく、錐体細胞層内に観察された。LMTs密度は錐体細胞層内で上昇し、明瞭層では変化がなかった。ペントバルビタール処置により、熱性けいれんを抑制した際には錐体細胞層内のLMTs密度の増加が抑制されたことより、熱自体ではなく、けいれん発作によってLMTsの異所形成が生じたことが示唆された。これは短期的な変化ではなく、成体期においても生じていることを確認した。次に、異所形成が起こるメカニズムを調べるため、切片培養系を用いた。てんかん患者、あるいは、過剰興奮状態の誘導により、海馬内のcAMP量が増加することが報告されており、熱性けいれん後にもcAMPが上昇していることを免疫染色法により確認した。そのため、cAMPの阻害薬であるRp-cAMP、プロテインキナーゼA阻害薬RT5720の処置により、錐体細胞層内のLMTs密度の増加は抑制され、cAMP-PKA経路がLMTsの異所形成に関与することが示唆された。本研究は、側頭葉てんかんの発症メカニズムに迫れるだけではなく、そのメカニズムに基づいた新規治療法の開発につながると考えられる。
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